動画を活用して、インナーコミュニケーションを活性化する方法

動画を活用して、インナーコミュニケーションを活性化する方法

マーケティング

2019年宣伝会議2月号と、宣伝会議のwebメディア「アドタイ」に、社内エンゲージメントの向上、インナーコミュニケーションの活性化を目的とした、メットライフ生命社の動画活用プロジェクトの事例が掲載されていました。

(※参考:動画による社内エンゲージメント向上プロジェクトは、どう進んだのか?

この事例は、インナーコミュニケーションを活性化するツールとして、動画をいかに活用したかというプロジェクトの内容をかなり詳しく解説していましたが、記事をご覧になった方は、エンプロイーエンゲージメントの向上、インナーコミュニケーションの活性化において、どんなクオリティの動画が、どのように制作されているのか。また、インナーコミュニケーションという測りづらいKPIをどのように設定したのか、気になったのではなないでしょうか?
そこで、この記事では、エンプロイーエンゲージメント向上やインナーコミュニケーション活性化を目的に、どのような種類の動画を制作すればよいか。また、どのようにして社内で運用に乗せられるようにすれば良いか。組織に実装していくかといったことについて解説します。

インナーコミュニケーションの活性化は、「社内で流通する情報の総量を増やす」こと

アドタイの記事では、社員自らが動画を制作できるようにし、制作する動画をテンプレート化して(カット数や秒数を決め、その構成に従って動画を撮影)、動画制作のハードルを下げることや、イントラネットや社内SNSなどデジタルチャネルの活用などが、キーポイントとして挙がっていました。これらの活動は表現を変えると、「社内で流通する情報の総量を増やす」ことに他なりません。「社内で流通する情報の総量を増やす」とはどういうことか、詳しく説明していきましょう。

コミュニケーションの定義は様々ありますが、ここでは「人と人の間で交わされる情報のやり取り」と定義したいと思います。情報のやり取りの方法は、リアルとバーチャル、アナログとデジタル、言語と非言語などがあり、これらの情報のやり取りが増えるほど、コミュニケーションは密になっていきます。
この考え方をインナーコミュニケーションに移せば、「社内で流通する情報のやり取り」と表現できます。交わされる情報には、経営者の年頭挨拶、各部門の目標数値、営業のベストプラクティス、社内キャンペーン、新しく導入したツールの説明、スキルアップ研修、競合他社の動向、あまり使われていない福利厚生、新設された部署や異動・新入社員の紹介など、実に様々です。

しかし、こうした社員が知っておくべき、知っておいた方がいい情報の全てを、みなさんの会社では拾い上げ、適切なタイミングに、情報を受け取る社員がわかりやすいように流通させられているでしょうか?誰か特定の人しか情報を持っていない。特定の部門の人しか社内に流すための情報を制作できないという状況だと、これらの情報を十分に社内に流通させることができません。

そこで、流通する情報量を増やすためにできることとして、以下の3つの方法があります。

1.動画の撮り手を増やす

2.テンプレート化し、制作のスピードを上げる

3.上がってきた動画のチェック、配信スピードを上げる

1.動画の撮り手を増やす

これまでは、社内に情報を発信したいと考えたら、広報部などに取材を依頼したり情報を共有したりして、社内メルマガやイントラネット、社内報などに情報掲載してもらうというのが一般的な方法でした。この方法だと、情報の作り手は広報部に限定されているため、仮に100の発信したい情報があったとしても、取材・コンテンツ作成の部分がボトルネックとなってしまいます。広報部としてもこうした業務だけに従事している訳ではなく、人員や時間の制約上、拾い上げる情報を取捨選択せざるを得ません。

しかし、メットライフ生命様が革新的だったのは、社内に情報を発信したい担当者自らが、動画を制作できるようにしたところです。
社員が自分で動画(情報)を制作して発信すると聞くと、動画制作スキルや動画編集の経験がなければできないのではないかと考えるかも知れませんが、そんな心配は要りません。私たちが運営する1Roll(ワンロール)はもとより、他にも動画制作未経験の方でも使用可能なソフトがいくつかあります。もちろん、ソフトを与えるだけでは、会社でよくある「ツールを導入しても使われない」ことになってしまいます。よくあるのは、ツール導入決定者が自分自身はその操作を行わず、別の担当者を立てて丸投げという失敗ケースです。動画をインナーコミュニケーションを活性化するツールとして使う以上、このような失敗を犯してはなりません。
このような失敗を防ぐ方法として、アドタイの記事では、ツール導入決定者が、社内浸透させるために導入担当者自らが、動画制作アプリの操作方法を一時間かけてレクチャー・トレーニングし、社員が「これなら動画が撮れる!」「自分も早くやってみたい!」と思わせるようモチベートするといったことを、しっかり手をかけて行ってきたという話が紹介されていました。そして、こうした社員のあるべき姿をKPIに代わる、CSF(プロジェクトの主要成功要因)にしていたことも印象的でした。

2.テンプレート化して、制作のスピードを上げる

次に、動画を撮れるようにするといっても、その動画制作に時間やコストがかかっていては、元も子もありません。1Rollの場合は、撮影したい動画の用途・目的に応じたテンプレート(動画を撮影・制作するための絵コンテ、音楽、映像効果が組み込まれたもの)という手法を採用し、iOSアプリで提供しています。撮影する時の注意ポイントなどもアプリで確認できるため、動画制作未経験の方でも短時間で、かつ容易にビジネス用の動画制作が可能です。

このようにテクノロジーを利用して、動画制作のハードルを下げることと合わせ、あと2つ大事なことがあります。一つは動画の再生時間を長くしないこと。もう一つは、動画制作プロジェクトのスタート時は、制作する動画の種類を狭めておくことです。まず、再生時間を長くしないことの理由を説明します。

一般的に、動画の再生時間が長くなればなるほど、その動画を撮影・編集する時間も長くなってしまいます。そうなると、情報発信以外に行うべき業務がある社員にとって、動画制作業務が重荷になり、結局動画をつくらないということになります。そのため、最初は15秒、30秒といった短めの動画から始めてみて、徐々に45秒、60秒といった長さの動画にチャレンジしていくことをお勧めします。

また、もう1つの動画制作の種類を狭めておくことについて説明します。1Rollで制作できる動画は、経営者インタビュー、部署・社員紹介、各種マニュアル、イベントレポート、ニュース番組風の動画など実に様々です。音楽やデザインの種類も豊富なのですが、種類が豊富すぎると、どのテンプレートを使用するか迷ってしまい、そこで時間を取られてしまいます。そのため、スタート時は撮影する動画の種類を少なくしておき、定めたテンプレートで制作された動画の数が増えていくと、それらの動画がお手本となり、初めて動画制作に取り組む社員の方のハードルも下がっていきます。

下図は1Rollで制作できる広報活動に活用できる動画テンプレートの一例です。

 

3.上がってきた動画のチェック、配信スピードを上げる

最後に、流通する情報量を増やすための社内体制について言及します。これまで紙・webを問わず、テキスト中心の情報を公開する際は、誤字脱字や不適切な表現が含まれていないかなど、一字一句チェックを行っておられるはずです。ところがこれが動画になると、チェックにかかる時間がとても短くて済みます。これは広報担当者の方、情報の校閲・チェックを行っている方には業務コストの削減にもなります。研修の意義や内容をテキストで丁寧に説明するものと、研修担当講師が研修のポイントを3つに分けて45秒で紹介する動画とでは、チェックに要する時間の差は大きく異なります。もしチェックにひっかかった場合、動画の修正にお金がかかってしまうことを心配されるかも知れません。しかし、それも動画の制作方法を工夫すれば、費用をかけずに修正することができます。この方法はこの記事の趣旨ではないため割愛しますが、よろしければ1Rollのトライアルアカウントでその機能を体験してみてください。
もう1つ大事なこととして、動画制作する方は「この動画で公開していいのかな?」「自分が撮った動画が公開されなかったらどうしよう・・・」という、クオリティについての心配をします。せっかく時間をかけて撮影したのに、公開されるかどうかわからなければ、積極的に活用したいと思うことはできないでしょう。そこで、担当者の方は必ずご自身でサンプル動画を制作し、実際に社内外でその動画を公開し、「このくらいのクオリティであれば、公開されますよ」という基準を提示する必要があります。このクオリティ基準が明示されていることも、動画の公開・チェックスピードを上げることにつながります。

ここまで解説してきた方法をまとめます。
インナーコミュニケーションを活性化するツールとしての動画を制作・活用し、社内で流通する情報量を増やすためには、大きく以下の3つの方法があります。

◆動画の撮り手を増やす

◆テンプレート化し、制作のスピードを上げる

◆上がってきた動画のチェック、配信スピードを上げる

動画の撮り手を増やすためには、動画制作を容易にするツールと、そのツールを使う気にさせるレクチャーやサポートが必要です。ここで大事なのは、ツール導入者自らがそのツールを使って動画制作できるようになっていることです。

動画制作を容易にするためには、テンプレート化することや短尺の動画から取り組むといった方法があります。短尺の動画は結果的にチェックのコストを下げることにつながるので、以上のような取り組みが相互に関連して、社内で流通する情報量が増えていきます。

最後に肝心なことをお伝えします。
こうして制作される動画の数が増えたとしても、それを社員に見せなければ動画制作の意味がなくなってしまいます。web社内報、社内イントラ、社内メルマガ、社内SNSなどのデジタルツールがあればそれらをフル活用すること。社内報などがあればそこにQRコードをつけて動画閲覧を促すなど、情報の「出口」にあたるところの準備を忘れないようにしてください。

インナーコミュニケーションの活性化、エンプロイーエンゲージメントの向上における動画活用は、事例がまだほとんどない状況です。
弊社ではこうした未知のプロジェクトの伴走支援を、インナーコミュニケーション活性化のKPI設定、制作すべき動画の種類、社内担当者及び社員のみなさまへのワークショップなど、各社の状況に合わせて行っております。インナーコミュニケーションの活性化に取り組んでみたいとお考えの際は、ぜひご相談下さい。